第117回 麦とひやしあめ(桂・長岡京)

「暑い暑い、なんとかならんのんかいな。 冷たあいビールをぐっと飲みたい。涼しいとこ行きたい」
と私がいつものようにブツブツ言うと
「長岡京にあるサントリービール工場へ見学に行きましょ。工場見学の後プレミアムモルツを飲ましてくれはるらしいでっせ」
と相棒が言う。

「工場見学なんて子供のとき以来や」と二人でイソイソと出かけました。

サントリービール工場サントリービール工場

涼しい工場内でタカラジェンヌみたいなチャーミングなお嬢さんが
「ビール作りに欠かせないのは3つのこだわりです。 天然水 麦芽 ホップ」と説明が続きます。
私は日頃の癖でノートにメモをとります。
相棒は「かっこわるい・・・」という目をして私のほうをチラチラ見よる。
しかしびっくりぎょうてん、こないしてビールはできあがるのんや、へぇ〜と感心してたらもう試飲コーナーに着きました。

サントリービール工場サントリービール工場

プレミアムモルツをなみなみと注いでもろて「あ〜生きてて良かった」と相棒を見ると
「私、炭酸はアカンのです。ひやしあめがええ。あれも麦芽から作っててビールと同じ色やわ」
「ひやしあめやったら夏は毎日中村軒で作って売ってますがな。
 喫茶店でも出したはるそうやけど、中村軒のんはビールジョッキ一杯が100円どっせ」

私もタカラジェンヌに負けんように「ひやしあめに欠かせへんのんは3つのこだわりです」と
お客さんに説明しようかしらん。

 まず天然水(中村軒はとても良い井戸水が出ます)
 麦芽(中村軒で炊いてます)
 しょうが(生のしょうがをすって入れてます)
 しかも安い!これは暑い中、来てくれはるお客様へのサービスどっせ。

中村軒のひやしあめ中村軒のひやしあめ

「そやけど中村軒では夏にはお客様が来られたら麦茶を出しますやろ。あれはタダですね」
中村軒では多い日には一日100リットルの麦茶を炊いて冷やし、お客様にお出ししてます。
これがものすご手間がかかるのんですけど、暑い中来てくれはるお客様が
「あーおいしい!いっぺんに汗がひいたわ」と喜んでくれはる。

入江敦彦さん著の『ゼロ円で愉しむ極上の京都』ゆう本の中で、
「値段のつけられないものにこそ京都の真髄がある」ゆうたはる。

 このサントリーさんの見学も0円
 桂離宮拝観も0円
 帰りに寄る中村軒のおいしい麦茶も0円

嬉しい話やおへんか。
中村軒の名物の麦代餅も昔は代金のかわりに麦と交換してました。

「話はかわるけんど、ゴールデンメロンて知ってるか?」
「上等なメロンのことですか」
「ちゃうちゃう。二条大麦ゆうビール麦のことやねん。
 明治24年に吹田にアサヒビールの工場ができたとき、ビール麦の種子の分譲をしやはって
 桂の川岡村の人達がビール麦の栽培をはじめはった。
 明治29年に桂に京都府農学校ができて、ここへ宮沢賢治が京都の修学旅行のとき立ち寄らはったんやて。」

宮沢賢治のことを研究したはるお方がいやはって
「中村軒の隣に万甚さんゆう料理旅館があって、宮沢賢治ご一行はここで朝ごはんを食べはった記録があります」と
教えてくれはった。

明治34年には「農学校でビール作りの実習に川岡村のビール麦耕作者を見学させる」と府の農会報105号に
記録があります。

ゴールデンメロンゴールデンメロン

今では桂で麦を作らはる農家はのうなってしもた。小麦はほとんど外国からはいってくるのんやろな。
サントリー見学で外国の麦と日本の麦が植えたあって、小鳥は日本の麦ばっかり食べに来るとタカラジェンヌは言うたはった。

サントリービール工場サントリービール工場

「輸入の小麦粉はメリケン粉、国産の小麦粉はうどん粉とゆうて区別したもんや」とは私のオバアちゃんの説です。

中村軒ではきんつば、六方焼、あゆ、みかさは国産の小麦を使ってます。

麦畑

冷やし飴も昔は飴湯ゆうて熱いのみもんやった。
暑いときに熱いものを食べて汗をだすのんが消夏法で、昔の人の暮らしの智恵はたいしたもんどすなあ。

今も飴湯は夏の歳時記にのってます。

  眦(まなじり)を汗わたりゆく飴湯かな   阿波野青畝

見学より帰って中村軒の冷やし飴で一服いたします。
国麦で作った『あゆ』もおいしい!

中村軒の若鮎

食べながら『ゼロ円で愉しむ極上の京都』を読み続け、夢中になると暑さも忘れる。
ときおり風鈴の音もきこえてくる。

これぞけっこうな消夏法ですな。

ほなこの月も めでたし、めでたし。


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大好きな中村軒のひやしあめ。 例年、8月1日から9月のお彼岸までの販売。(たしか) だから、梅雨明け以降、どんなに気温が上がって 「ひやしあめ、飲みた〜い!!」 となってもガマンガマンだったのですが… なんと、今年は7月10日から販売されていました♪ あの、猛
  • なにを読んでも なにを見ても聞いても フェルデンクライス
  • 2010/07/27 6:20 PM

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