第151回 葵と桂


   嫁ぎゆくものに雨ふる桐畑   細貝綾子

結婚式がすんで新しい生活をはじめる前に、お嫁さんはお姑さんにつれられてご近所に挨拶にまわらはる。
おまんにお嫁さんの名前をつけて、まんじゅう盆にのせ、家紋のふくさ又は風呂敷に包みます。

昔の人は家紋をみたらどのような家系の出身かいっぺんにわかったんやて。
家紋は現在わかってるだけで2万近うもあるそうやけど、一番多いのんは「丸に違い鷹の羽」で、中村軒もこの紋です。

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でも一番有名な紋は葵の紋やろ。
水戸黄門で「頭が高い、この葵の紋どころが目にはいらぬか」というアレです。

徳川家の家紋は「三つ葉葵」で、徳川さんの先祖さんには加茂朝臣という方がいやはって、
三河あたりにある加茂神社の氏子やったさかい葵紋にしやはったそうな。

賀茂神社のご神紋は二葉葵です。

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   忘るなよ よるべのみくさ うちはらひ 君にあふひのかげを待ちつつ
                                  藤原家隆

不思議なことに随分はなれたところにある松尾神社もこの二葉葵のご神紋です。

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『松尾深秘抄』という本によると、昔、賀茂と松尾の人たちがみんな同じ夢をみやはった。
貴い女の人が葵かづらをかけて手には桂の枝をもち、五色の雲にのって光明を放って言わはることには

「汝等たしかに聞け 賀茂松尾は一体なり
 この祭に葵桂をもって 神殿を飾り家々にもかけよ
 そうすれば急激な電鳴の恐れなく 三災防難を消除すべし」

これより賀茂松尾の祭には必ず葵桂を用いるようになったという事です。

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「桂の葉と葵の葉は同じような形やけど、桂の木は天高うそびえるし、葵は地に茂ることから
 桂を陽天上男
 葵を陰地下女
 と例えるのやときいてるえ。
 葵は賀茂神社の女の神さんをあらわして、桂は松尾の男の神さんをあらわすのえ。
 この二人の神さんが結ばれはったさかい
 上下賀茂神社の神さんと松尾大社の神さんとはご親戚どす。」
とおばあちゃんは見てきたように言わはる。

松尾神社から近い中村軒のある桂の地は、不老長寿の仙境桂の里と昔からよばれていました。

風土記によると
「湯津桂の樹あり、月読尊その樹によりて立たましき その樹のある所 桂の郷と号(なず)く」

湯津桂は五百個桂とも書く。昔は桂の大木がたくさんあった土地やったんやろ。
古代には下賀茂のただすの森には葵がいっぱい茂っていたときいています。

中村軒の創業以来のお饅頭はかつら饅頭で、久邇宮家へ納めさせてもろてました。
又、5月には「葵」という薯蕷饅頭を作ります。餡が抹茶餡で、白の薯蕷生地に葵のはんこを押します。

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葵はあふひ、饗(あ)ふ日で神さんを饗応(きょうおう)する日といいます。

古代松尾に勢力を持ったはった秦氏と賀茂の地にいやはった賀茂氏が結婚し協力して治水工事をして
京の都づくりをしやはったんにちがいおへん。

古代の京都を作らはった神様を崇めてお祭りをしやはったんやろ。

おいしいかつら饅頭と葵を食べながら古代の神さんに思いをはせる5月です。

ほなこの月も、めでたしめでたし。


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