第195回 百人一首

 

   相ともに昔恋しきかるたかな   高浜年尾

 

テレビもなかった時代、お正月だけは親が一緒に遊んでくれるのが百人一首やった。

意味がわからんままに暗誦し好きな歌は人にとられんとこと一心にみつめてました。

 

読み手は母でした。

「いち、天智天皇」と番号をゆうてから読み上げます。

 

「1番天智天皇さん、2番持統天皇さんは親子さんでっせ。

 ほんで99番後鳥羽院(ごとばのいん)さんと100番の順徳院さんも親子さんでっせ」

 

天皇制の確率をめざさはった天智さんから公家政治のかげりを告げる天皇さんの歌でしめくくりとなるのんやと

ちょっと感慨深い。

 

百人一首を選ばはったんは藤原定家で、息子為家の嫁さんのお父さんである宇都宮入道蓮生はんに

「別荘の襖に和歌の色紙を貼りたいのんで100人の歌を選んで欲しい」 と頼まれはったんやそうな。

 

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この蓮生はんは鎌倉幕府の御家人やったけど、幕府のゴタゴタが嫌になって法然上人の教えを受けて出家し、

蓮生と名のったはった。お金持ちで、あちこち家やお寺を持ったはる。

 

中村軒から近い下津林に蓮生寺というお寺もあったそうで、今もここに供養塔があります。

墓所は西山の三鈷寺にあるのやけど、普段は小倉山の小倉山荘に住んだはった。

 

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そのあたりは昔、愛宕さんの宿坊中院のあったとこで、愛宕道の町並みを中院と言います。

この近くに定家が小倉百人一首を選んだ厭離庵があります。

 

      霧の門 鎖(とざ)すに一竿さしわたし  透水

 

の句があるように、非公開のお寺やけど、紅葉の頃だけ拝観させてもらえます。

 

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  小石盛る 定家の塚の落椿   茶木三胡

 

定家はんをしのぶお庭がしっとりして、風の音鳥の声がきこえてくる。

 

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この庭を愛でながらありあまる歌から100首を選ばはったんやなあ。

女性の歌も21首とられてる。

今年は酉年やけど「とり」の歌は5首あります。

 

中でも私は柿本人麻呂の

 

   あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む

 

が子供の頃から好きやった。

 

人麻呂はんは明石にある人丸(ひとまる)神社に神さんとして祀られています。

 

  火災よけの神さん…火気元火止(かきのもとひとまる)

  安産の神さん…人産る(ひとうまる)

 

昔目の見えへん娘はんが人丸神社にお詣りに来やはって、

「ほのぼのと まこと明石の神ならば 我にも見せよ人丸の塚」と歌を詠んだとたん

目が見えるようになったと伝えられています。

目を明してくれはることから目の神さんでもあります。

 

「知らん間にいろんな願い事をひきうけならんがな」と人麻呂はんもエライメにおうたはる。

百人一首は自然と生活に根付いて子供の頃から古典に親しんでこれたんかもしれん。

 

中村軒では今年の干支の酉(とり)の薯蕷饅頭を作ってます。

召し上がったら酉のおかげで早起きできることまちがいなし。

 

 

  早起きは三文の得

  早起きは元気の源

 

この年も中村軒をどうぞよろしゅうおたの申します。

 

めでたし、めでたし。

 


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